2011年5月2日月曜日

お詫びの時は誠意を見せることに集中すべきで、主導権にこだわるべきではないと思う

最近ニュースを騒がせているソニーの個人情報大量流出ですが、昨日会見が行われました。

参考リンク:
ソニー PlayStation Network / Qriocity 漏洩事件 記者会見概要
Engadgetさんより)

その中で対応がまずいなと思う点が散見されたため、管理人としては残念に思ってしまった会見でした。


第一に、賠償については、現状では一律の現金などでの補償は行わず、自社サービスの30日間無料体験や無料コンテンツを提供するというもの。

これは、今後も PlayStation Networkなどのサービスを継続利用する人たちには謝罪の意味を成し得ますが、PlayStation Network自体を見限ってもう関わらないと決めたユーザーには何の補償にもなりません。

被害に遭ってはいない管理人ですら、これは率直にせこいと思わずにはいられない対応です。

もう起こってしまった事故については、補償という金銭的な主導権を被害者であるユーザー側に渡したくないという気持ちもわからないでもないですが、ここでもめることは、今後時間が経っても、ソニーは誠実な対応をしなかった、それどころか自社コンテンツでお茶を濁すせこい会社だ、という印象を長きに渡って、消費者に抱かせる危険があります。

それは今後のブランド維持に悪影響しか与えないはず。



第二に、ソニーが認めたように脆弱性はセキュリティー業界では既知のものであったこと。

会見中でもソニー自身が認めるように、情報流出につながった脆弱性自体は既知のものであったことは、ソニーの立場をより一層悪くさせます。少なくとも、技術のソニーであるはずなのに、その技術に対する信頼は大きく揺らぐことに。

さらに、日本以外の訴訟が一般的な国では、既知の脆弱性に対応できなかったことからの立場の悪化は、今後の多額の賠償責任につながりえることは明白。

また、ネットワークの分野だけではなく、多くの業界では、お金を受け取ってサービスを提供していく以上、問題が起こらなければなんとも無いのですが、問題が起こったとき、知らなかったということは言い訳にはならず、無知は罪になりえるのも事実です。




第三に、ソニーグループを挙げて防御、対応して、それでも情報流出を引き起こしたこと。

ソニーグループには、
銀行部門のソニー銀行、損害保険部門のソニー損保、さらには、クレジットカード「ソニーカード」を発行するソニーファイナンスなど、金融部門が存在しています。

顧客の資産や個人情報を扱うために高度なセキュリティー技術を持ち合わせているはずの部門をグループ内に抱え、さらには会見中に回答したように、グループを挙げて、防御、対応してきたと述べているのにも関わらず、結果的に情報流出を引き起こしたことは、金融部門への不信感につながりかねません。

少なくとも管理人は、こういった事故をグループ内での経歴として持つ金融機関とは取引は避けます。

確かに、実際にトラブルに巻き込まれる可能性は低いし、何か起こったとしても対応してくるはずと考える方がいるのも理解できます。

そうはいっても、そういった事態対応のために、手続等に時間を利用者が消費しなくてはならないのは確実。

同じような例では、銀行等にお金を預けて、その銀行が破綻しても、1000万円以内なら保証される預金保険が挙げられるでしょう。
確かに万が一の預金先銀行破綻時1000万円までの預金(と利子)は保証されますが、本来は不要だったはずの手間や不自由さは利用者が引き受けなくてはならなくなります。

そういった手間や不自由が嫌だからこそ、リスクが高いと思われる金融機関とはできるだけ関わりたくないというのが、管理人自身、正直な気持ちです。

今回のケースも同様です。
他にも銀行や保険会社など金融機関はたくさんあるわけです。一つの企業に拘る必要などそれほど無いのですから。



そういった三つのことを考えたとき、この記事の最初で書いたように、まずい会見だったなというのが第一印象でした。
今後、信頼回復と被害者の損害回復のための対応をしていく上で、危機対応の専門家をちゃんと揃えているのか、そういったことも心もとなくなるくらい。

日本の企業であることもそうですし、音楽を外出先で楽しむためのポータブルオーディオ機器メーカーとしてのソニーは管理人自身好きなので、ここは一つ、なんとか頑張ってほしいですね。

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