先日、管理人と友人との会話の中に出てきた話題に投資信託の繰上償還がありました。
簡単に説明すると、投資信託の繰上償還とは、投資信託を運用するファンドが何らかの理由で、契約満了を待たずに途中で資金運用を止め、資金を投資家に返還するというもの。
お金が戻ってくるならいいかと考える方もいるかも知れませんが、投資信託の購入時手数料、加えて「この投資信託ならいいかな」と思えるまでに検討したり、実際に申し込むために使った時間が無駄になることは確かなわけです。
さらに、一部を除いて、投資は短期間で利益を得られるものではなく、投資家自身が理解できる、それでいて適切な投資対象に長期間、それも「投資したことを忘れて放っておく」位の気持ちで、投資して、初めて利益が得られることが多いはずです。
どんどん投資対象を乗り換えてばかりいては、購入手数料だけでも損になるばかり。
(ちなみに、管理人は貯蓄と自己責任の上での投資は推奨します。が、しかし、繰上償還されるようなものを含め一般的なアクティブ投資信託は基本的におすすめしません。インフレリスクがあると言っても現状安全な預金、あるいは手数料の少ないインデックスファンドにしておくべきと考えています。)
実際、投資信託の繰上償還は多くの場合、販売側である、投資信託運用元と投資信託販売業者の都合が、その理由の多くを占めていると考えます。
もちろん、彼らもボランティアで投資信託の資金運用・販売を行っているわけではないですから、利益が目的。
そう考えたとき、運用残高や購入している投資家の人数が減ったりすると、運用自体や書類作成の手間はそれほど多く変わらないのにも関わらず、利益の源泉である手数料は大きく減って、結果、旨みは少なるわけです。
だからこそ、一回全部やめてしまって、また「似たような投資信託」を「新しく作って」、さらには広告を打つなどして、「多くのお金」を集めて、再出発します。手数料収入は無事復活で目標達成というわけですね。
(その際は、以前の投資信託購入者向けの購入優遇キャンペーンを実施することも)
こういった話をしながら「似ているな」と思い浮かべたのがクレジットカードの廃止と再募集。
というのも、リーマンショックの傷跡も癒えず、不景気と言われて久しい昨今ですが、2008年くらいまでは、クレジットカード会社も羽振りがよく、特定の優良顧客・会員向けに好条件のクレジットカードを与えていたのです。
その中には、通常であれば、年会費だけで1万円を超えるゴールドカードが無料というものもありました。
ご丁寧に、その申込要件にも、年会費永年無料の文字。
つまり、そのカード所有者が支払い遅延などトラブルを起こしてカード会社に損害を与えたりしない限り、死亡するまで無料でゴールドカードホルダーのステイタスを得られるというもの。
永年はすごいなと管理人もその当時思いました。カード会社は、契約時の申し込み条件上、そのカードの所有者から今後も一切年会費収入は得られないわけですから。
それでも、毎年、ゴールドカードサービスを維持するための経費は負担し続けることになります。そのカードホルダーが自発的に退会するまでは。
しかし、カード会社も負けてはいません。自社の経済状況が悪くなった際に使える秘策があります。
というのも、カードの廃止と、同機能で有料のカード再設定です。
つまり、該当する無料ゴールドカード自体をやめてしまって、一律で全ての対象カードホルダーからゴールドカード無料資格を剥奪します。
その後、「有料ですけど、同じ機能のゴールドカードを用意したので、よかったら再加入してください。申し訳ないので、初年度年会費は優遇しますよ」というようにお誘いするというもの。
(もちろん、こんなにフランクな説明文をカード会社が使うわけではないですが・・・)
この流れ、なんだか、先程の投資信託での繰上償還の話に似ていますね。
管理人としては、この一連の流れを見たときには、「うまいこと考えるなあ」と、正直、感心しました。
ただ、こういったことを行うと、永年無料だと信じていたのに裏切られたと感じて、そのカード会社を離れる顧客も一定割合で存在するので、ある種、大きなリスクもあります。
しかも、元々が優良顧客に対して行ったサービスですから、離れていくのも儲けの大きい優良顧客。 大きな痛手にもなりえます。
ですが、経費削減待ったなし状態のカード会社では、有効な選択肢の一つだったわけです。
自社の利益を守ることが第一条件ですから、契約上、永年も含め、どんな期限が設定されていたとしても、それが守られる保証はないわけで、そういったリスク回避のために、企業側も、抜かりはなく契約条件に除外条件を織り込んできています。
こう考えていくと、投資信託の繰上償還にしても、 年会費無料のゴールドカードの廃止といった事例にしても、遭遇してしまったら、どうしようもなく、仕方ないこととしか言えません。
それでも、予め、頭のどこかでそのリスクを考えておくと、当事者にあったときに慌てずに済むのは間違いないと言えますね。
おまけ:
ちなみに、管理人は、ダイナースカードや他社ゴールドカードを保有・保有した経験がありますが、以前の記事にも書いたように、ゴールドカード不要論者です。
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