今現在、管理人は写真用プリンターとしてエプソンさんのPX-5Vを愛用しています。
その以前からエプソンさんの顔料プリンターを使っていたこともあって、PX-5Vを導入する時も、エプソンさんのプリンターの中から今後数年愛用するプリンターを選択したという経緯があります。
やはり、これは管理人の中でエプソンさんが他社に先駆けて一般消費者向けに堅実な顔料プリンター作りをしてきたという印象があるためでしょう。
そういった意味では、デジタルカメラなどでも有名なキヤノンさんも一般消費者向けの顔料プリンターをラインナップしているものの、エプソンさんと比べた上で、その完成度や信頼性を考えてしまうと、どうしても今後数年使う前提で購入するプリンターの候補としては選びにくかったというのが管理人の正直な感想です。
そんなキヤノンさんですが、最近驚くべきプリンター新製品を発売しました。
それがこれ、Canon PIXUS PRO-1(管理人予想の日本名。外国での発表名はPIXMA PRO-1)です。
簡単にPIXMA PRO-1について説明すると
・12色顔料インク採用A3ノビ対応プリンター
・色の正確性とメタメリズムに効果的なクロマオプティマイザー搭載
・モノクロ表現対策に計5種類のブラックやグレーインク搭載
・最大解像度は4800x2400dpi
・従来機(14ml)の2.5倍となる約35ml大容量インクカートリッジ採用
・接続はUSBと有線LAN
・大きさは幅695 × 奥行き462 x 高さ239 (mm)
・重さは約27.7 kg
・アメリカでの予想価格で999ドル(日本円で約76,000円)
・2011年11月発売予定
といったところでしょうか。
参考リンク:
PIXMA PRO-1製品情報(英語表記)
(アメリカキヤノンさんのプリンター製品情報ページより)
キヤノンさん製プリンターのインクカートリッジ内容量一覧(英語表記)
(キヤノンマレーシアさんより)
特に管理人として気になるのは
1、12色の顔料インク採用の内訳
2、クロマオプティマイザー搭載
3、大容量インクカートリッジの採用
の3点です。
一つずつ詳しく見てみましょう。
1点目の12色のPIXUS PRO-1搭載顔料インクの内訳はというと
フォトブラック (BK)
マットブラック (MBK)
ダークグレー (DGY)
グレー (GY)
ライトグレー (LGY)
シアン (C)
フォトシアン (PC)
マゼンタ (M)
フォトマゼンタ (PM)
イエロー (Y)
レッド (R)
クロマオプティマイザー (CO)
の計12色になります。
先代機種のPIXUS Pro9500 Mark IIが
フォトブラック
マットブラック
グレー
シアン
フォトシアン
マゼンタ
フォトマゼンタ
イエロー
レッド
グリーン
の計10色ですから、ダークグレー 、ライトグレー、クロマオプティマイザーの3色が追加され、グリーン1色だけが搭載されなくなったということになります。
対するライバルとなるはずのエプソンさんのPX-5Vの場合、搭載されているインクは
フォトブラック
マットブラック
グレー
ライトグレー
イエロー
ビビッドマゼンタ
ビビッドライトマゼンタ
シアン
ライトシアン
の計9色とグレーインクが2色ですから、グレーインクを1色のみ採用のPIXUS Pro9500 Mark IIへのグレーインクの追加採用は納得出来る部分ですね。
その一方で、グリーンインクを搭載しなくなったことについては、今まで業務向け12色顔料プリンターのラインナップから予想したキヤノンさんの方向性として、CMYKだけではなく、RGBについてもそれぞれのインクを搭載していくのだとと考えていただけに、驚いたのも事実です。
参考リンク:
PIXUS Pro9500 Mark II
写真用途向けのキヤノン imagePROGRAFシリーズ
(キヤノンさんより)
PX-5V製品情報
(エプソンさんより)
そういう意味では、Canon PIXUS PRO-1は全く新開発の新機軸フラグシッププリンターといえるのかもしれません。
2点目のクロマオプティマイザー搭載についても、管理人が今現在同じような機能、グロスオプティマイザーを持つエプソンさんのPX-7Vの導入を検討していることもあって驚きました。
確かに染料インクに比べて、光沢感を苦手とする顔料インクでは、用紙表面に打ち付けられたインクの表面の滑らかさが影響することもあり、その対策として、PX-7Vをはじめとするエプソンさんの光沢顔料インク機にはグロスオプティマイザーが伝統的に採用されてきた経緯があります。
ただ、そのエプソンさんも、より上機種のモノクロを得意とするPX-5Vなどでは、グロスオプティマイザーは搭載していません。
これはインク素材自体の技術革新やプリント動作時の行程工夫などで、光沢感問題が多少なりともそれほど深刻な問題ではなくなりつつあるということもあるのでしょう。
しかし、管理人の考えでは、現在のインクヘッドで同時利用可能なインクカートリッジ数に制限があるため、エプソンさん自身、グロスオプティマイザーを使いたくても使えないという事情もあるのではないかと考えている部分もあります。
その点、12色インクを搭載するキヤノンさんのPIXUS PRO-1では、グリーンインクを非搭載にするという選択を選びながらも、クロマオプティマイザーを搭載することで、光沢用紙への対応を高めることにしました。
そういう意味ではPIXUS PRO-1が管理人にとっても魅力的な機種となったのも事実。
というのも、管理人がPX-7V導入を考えている理由の一つに光沢用紙への強い対応能力を期待しているということがあるからです。
ただし、そのPX-7Vもインクカートリッジの内訳は
フォトブラック
マットブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
レッド
オレンジ
ブルー
グロスオプティマイザ
の9色のやや特殊な色の組み合わせとなり、グレーインクの種類を3色まで増強しているPIXUS PRO-1に比べ、モノクロプリントへの性能では上回るのは難しいことが予想されます。
参考リンク:
PX-7V製品情報
(エプソンさんより)
そういったことからもPIXUS PRO-1に一番強く感じる印象はモノクロも光沢紙印刷も得意とする全部入りのプリンターということでした。
3点目の大容量インクカートリッジ採用も、A3ノビのプリント作業が楽になるという意味では大きな魅力となる部分でしょう。
同じくA3ノビ対応プリンターでは一足先に大容量インクを搭載したPX-5Vのインクカートリッジ容量が25.9 mlであるのに対し、PIXUS PRO-1は従来機種PIXUS Pro9500 Mark IIのインク容量14mlの2.5倍、約35mlを誇ります。
PX-5Vインクカートリッジ容量参考リンク:
PX-5V(海外名Epson Stylus Photo R3000)
(アメリカのエプソンさんの公式サイトより)
PIXUS Pro9500 Mark IIインクカートリッジ容量参考リンク:
キヤノンさん製プリンターのインクカートリッジ内容量一覧(英語表記)
(キヤノンマレーシアさんより)
管理人注:
一部の海外ニュースサイトではPIXMA PRO-1のインクカートリッジ容量として、36mlの表記あり。ただし、キヤノンさんの公式サイトでは36mlの数値が確認できなかったため、公式サイトで確認可能なPIXUS Pro9500 Mark IIのインクカートリッジ容量を元に、それを2.5倍した35mlに「約」をつけてインクカートリッジ容量として採用。
管理人もPX-5Vを使い、連続でA3ノビをプリントしていて感じるのが、PX-5Vのインクのもちの良さ。実際、頻繁にインク交換によって作業が中断されないことがこれほど快適とは予想していなかったのも事実です。
それが今回、PIXUS PRO-1ではPX-5Vの約1.35倍にインクカートリッジ容量を増量するということで、さらにインク交換の頻度は低下するはず。
とはいっても、PIXUS PRO-1自体がクロマオプティマイザー搭載の新機種ということもあって、おそらくインクコスト自体は変更なしか、僅かに減少する程度でしょう。
しかし、実際に継続して使っていく上で、快適な使用感はコストには表れないものの、かなり重要な利点となるはず。管理人としてはとても大きな魅力と感じます。
というように、キヤノンさんのPIXUS PRO-1と、その比べられる対象になると考えられるエプソンさんの新機種、PX-5VとPX-7Vの比較を行ってみました。
以上から得た管理人としての結論はというと、
PX-5Vを所有していない場合は、とりあえず海外で発売となる11月以降、PIXMA PRO-1の評判やレビューなどから実際の性能を確認後、PIXUS PRO-1かPX-5Vのどちらを購入するかを検討すべき。
PX-5V所有者でPX-7Vを導入検討している場合も、PIXMA PRO-1の評判確認後、光沢用紙へ対策としてPIXUS PRO-1かPX-7Vのどちらかを購入するかを検討すべき。
というものです。
管理人注:
基本的にインクカートリッジの色の種類の増加は高画質化への良い影響を期待できるとは言え、PIXMA PRO-1自体がインクの種類を大きく変化させた新機種のため、やはり実際のサンプルや運用上のトラブルが生じないかどうか、実際の製品を元にしたカタログスペック以外のチェックは必要だと考えます。
ただし、場合によっては、全部入りの顔料インク採用機種として、PX-5Vのバックアップとしても利用できることから、PIXUS PRO-1を導入したほうが表現の幅の面だけでなく、実際の運用の面でもメリットが生まれそうですね。
今現在、PX-7Vの導入で固まっている管理人ですが、いきなりの気になる新機種の登場にいろいろ考えさせられているというのも正直な部分です。
管理人も購入後に愛用のPX-7Vおすすめ購入先リンク:
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7年間愛用したプリンターの故障で行なったことの全て
シンガポー在住の高齢者サラリーマンです。エプソン4000PXを日本から持参し、愛用していましたが12年目で、ヘッドが逝ってしまいました。 インク、メンテも考え、当地で代替機を購入。迷った挙句、PIXMAPro1にしました。R3000(PX5V)を買おうかと思っていたら、PRO1が当地で3月に発売、価格は、実はR3000よりも2万円弱安かったのです。Pro1は邦貨で78000程度でした。しかしインクは、今のところ3250円とかなり高い(px5vのインクより安いが)!インク容量は、海外ではメーカー表示あり、管理人様の表記とおりです。また、フォト黒、マット黒交換時に、無駄なインクを吐き出さない、タンク容量が大きい分交換時のインクの無駄が省ける。サイズはA2機並ですが、設置場所は従来とおりで可、この重さ!いい機械は重いもの、特に可動部の重要なプリンタの命では、作りはA級です。12年前6万払った4000PXの筐体が恐ろしく貧弱に見えます。 Pro1はヘッドも別梱包、つまり取り出せる。これらがPRO1購入の決め手でした。c社Pro1、e社PX5v ともに一級品、いづれも愛用し、使いこなすことに尽きるでしょう。
返信削除コメントをいただき、ありがとうございます。
削除特に海外でのプリンター情報は管理人としても大変興味深く、情報提供を頂けたことは大変嬉しいものでした。
ありがとうございます。
PIXMA PRO-1とStylus Photo R3000とのシンガーポール-日本間の価格差は、キヤノンさんのA3ノビ以上の高画質写真画質プリンターシェアに対する危機感の現れかもしれませんね。
特に日本市場以外ではヒューレッドパッカードさんをはじめとした他社との競争もよりシビアでしょうから。
それにしても、A級とまで評価がなされた作りの良さと、ユーザーによるヘッド交換可能機構などの情報を聞くと、羨ましくなります。
確かに、作りの良さは重要ですよね。
今現在、PX-5VとPX-7Vの両方を利用しているのですが、重厚さを含めた作りの良さを感じるのはやはりPX-5Vです。
それに比べると、PX-7Vは華奢なこともあり、さらには、過去の搭載機種ではインクヘッドに悪影響を与えることがよく報告されてきたグロスオプティマイザを搭載している機種なので、PX-5Vよりも故障しやすいのではないかと、少し気を使う面があるのも正直な感想です。
そういう意味では余程神経質に比べることなしに、画質面での差を感じることがないPX-5VとPX-7Vでも、安心して使えると感じているのはPX-5V。
確かに愛用し、使いこなすことに尽きる機種です。
今回は大変興味深く好奇心を刺激することにつながるコメントをいただきありがとうございました。
管理人@スタ好き